三枝匡『戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ』を「打つ」

組織の不安定化→克服が、組織を強靭化する

 
 
いわゆるビジネス系戦略論なのですが、サラリーマン小説のような展開でありながら、戦略立案や戦略実践のプロセスが具体的に分かるような内容となっています。
 
この本の作者と同じボストン・コンサルティング・グループ出身の三谷宏治『戦略読書』の中で、『戦略プロフェッショナル』が三谷氏自身のキャリアに大きな影響を与えた一冊として挙げ、目指すべきコンサルタント像をこの本で見出したそうです(三谷2015,pp.182-183)。
 
『戦略プロフェッショナル』では、ある商品の市場シェアを拡大するという戦略を展開しますが、その中には自社の組織改革も含まれております。実行内容のひとつに「組織の不安定化」というものがあります。自壊行為のようにも思えますが、不安定化を図って組織の中に「ゆらぎ」を起こし、それに対処して乗り越え、組織が活性化するという変化が描かれています。その過程は負荷をかけて強靭化するという点で、筋トレに近いかもしれません(筋トレの「超回復」がその例)。
 
また、「良好(good)は偉大(great)の敵である」という(個人的には最大級の)名言から始まる『ビジョナリーカンパニー2(原題”Good to Great”)』の内容にもつながる気がしましたが、結構前に読んだので、確かなこととは言えず、気が向いたらフィードバックします。